7月20日、JICAカンボジア事務所が発行する「カンボジアだよりNo47」に、『広がれJICAプロジェクト・安全でおいしい酒を農家と大学、手をとり着実な歩み』と題する記事が掲載されました。
というのも、農村では冠婚葬祭などに欠かせない酒として有名なのですが、美味しくない、儲からない、不衛生、という否定的な意見も広く浸透していたのです。そのため酒造農家の人たちの収入は下がる一方でしたが、名古屋大学が支援に立ち上がりました。
名古屋大学は、カンボジア王立農業大学とともに安全で高品質な酒を造るための改良技術の研究・開発に力を注ぎました。そしてその技術を身に付けてもらおうと、両大学による「伝統産業の復興による農産物加工技術振興プロジェクト」が2010年から3年間、タケオ州にて実施されました。
この事業では、104軒の農家を対象に衛生・品質管理を学ぶ基礎研修が行われ、さらに高い品質の商品の製造・販売を目指す農家のために上級研修も行われました。その後、厳しい審査をクリアした農家の原酒を買取り、王立農業大学で貯蔵・ボトリングをし、出来たのが「スラータケオ(武玉)」です。
プロジェクト参加によって酒の売値が2.5倍以上に上がり、今では酒造りが主な収入源となっている農家も少なくありません。さらに王立農業大学は名古屋大学の協力のもと、大学内でCJHAPというスラータケオの販売会社を立ち上げ、今ではプノンペンの飲食店やおみやげ店を中心に、月に500~600本を出荷しています。
このプロジェクトが施行されたことは、大学と地域社会が手を携えるモデルケースとして、カンボジア国内に良い影響を与えています。
出典:【JICAカンボジア事務所】名古屋大学、カンボジア王立農業大学 安全でおいしい酒を 農家と大学、手をとり着実な歩み(PDF)