学術研究の助成など学術の振興に関する事業を行う日本学術振興会では、2016年度の科学研究費助成事業で配分審査を行った審査委員の中から、有意義な審査意見を付した268名を表彰した。
日本学術振興会は、日本学術振興会法に基づき、学術研究の助成、研究者の養成のための資金の支給、学術に関する国際交流の促進、その他学術の振興に関する事業を行うため、2003年10月1日に設立された文部科学省所管の独立行政法人で、日本国内で学術振興を担う唯一の資金配分機関。
この日本学術振興会が行う科学研究費「科研費」助成事業は、学術研究の振興を目的として行われ、その配分審査においては、大学教授、准教授など約65,000人のデータベース登録者の中から選考された審査委員の専門的見地から第1段審査(書面審査)と第2段審査(合議審査)の2段階で行われる。
この配分審査で大変重要となる“審査の質”を高めるため、毎年、科研費の審査終了後に審査の検証を行い、その結果を翌年度の審査委員の選考に反映。さらに、その検証結果に基づき、第2段審査に有意義な審査意見を付した第1段審査委員を選考し、表彰を行う。
2016年度は約5,700名の第1段審査委員の中から東北大学医学系研究科青木洋子教授、早稲田大学理工学術院有賀隆教授ら268名を選考し、表彰した。また、第2段審査に有意義な審査意見は2017年度の第1段審査の手引きに反映し、第1段審査委員が審査を行う際に活用する。
日本学術振興会では、研究者として競争的資金の審査に関わることが各研究機関内において積極的に評価されるようになれば、研究者仲間や同分野の専門家が審査し検証する“ピアレビュー”の質を高め、日本の研究費制度全体を向上させることにつながるものと考えている。