私大最古の考古学専攻のある明治大学では、文化庁と連携し、大学生に埋蔵文化財の発掘や保護に興味を持ってもらおうという取り組みを始めました。この背景には、発掘調査のための専門職員を大量採用した1970年代入庁の職員が退職期を迎えたことで、考古学専攻の学生たちにとって狭き門だった自治体専門職員の求人が増えてきた現状もあります。
2015年7月4日には、この取り組みの一環として、同大駿河台キャンパスで大学生や大学院生を対象に埋蔵文化財保護行政説明会「遺跡をまもってまちづくり-明日の埋蔵文化財保護行政を担う」が開催されました。同説明会は、埋蔵文化財保護行政の業務の魅力を学生たちに発信し、これからの埋蔵文化財保護行政に携わる人材を発掘、育成することを目的に同大文学部と文化庁の共催で、考古学専門コースのある関東23大学の協力を得て開催されました。これは、大学と行政が連携した初めての試みです。会場には、同大の学生だけでなく他大学の学生や大学院生も含め約200人が集まり、群馬県や神奈川県川崎市などで文化財の保護などに携わる自治体職員が遺跡をまもる仕事やその面白さを伝えました。
文化庁によると、2015年に群馬県が2016年4月入庁の「文化財保護主事」を3年ぶりに募集するなど、近年、文化財発掘や保護に携わる専門職員の採用を行う自治体も増えているそうです。関係者は学生たちの中から地域の文化財研究に力を発揮する人材が生まれることに期待を寄せています。