地球温暖化の対策として、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量削減は喫緊の課題ですが、一方で、二酸化炭素を有効利用してエネルギーに変換する人工光合成技術が注目されています。人工光合成は、植物が太陽光エネルギーを使って二酸化炭素と水から炭水化物を得る光合成のように、太陽光エネルギーを使って人工的に二酸化炭素から有用な燃料を生成する技術。人工光合成技術が実用化されれば、二酸化炭素を有効利用できるだけでなく、再生可能エネルギーである太陽光エネルギーを使って燃料を生成することが可能になります。
大阪市立大学は8日、同大複合先端研究機構人工光合成研究センター所長、天尾豊(あまお ゆたか)教授らのグループが、マツダ株式会社技術研究所との共同研究において、人工光合成によって自動車用の低炭素燃料として期待されているエタノールの生成に成功したと発表しました。これまで二酸化炭素をメタノールに変換する人工光合成は報告されていましたが、燃料として実用がより期待されているエタノールへの変換が成功したのは初めてのことです。
同研究グループは、二酸化炭素とメタン(あるいはメタノール)から酢酸を生成し、人工光合成によって酢酸からエタノールを合成する反応系を考案。150分間の太陽光照射で酢酸のおよそ5%をエタノールに変換することに成功したと報告しています。
研究グループは、今後は酢酸菌等を利用して、太陽光と二酸化炭素からエタノールを生成できる新たな人工光合成技術への展開に取り組むとしています。
この成果は、7月2日付けで「Applied Catalysis B: Environmental」に掲載されました。