東京都市大学工学部エネルギー化学科の高津淑人准教授は3月3日、廃食油を原料として、石灰石を触媒とするバイオディーゼルの生産過程でグリセロリン酸カルシウムが副生できることを発見したと発表した。グリセロリン酸カルシウムは機能性に優れた付加価値の高い素材(1万円/kg)で、粉ミルクや歯磨き粉、医薬品などのカルシウム強化剤として利用されている。
バイオディーゼルは再生可能エネルギーの一つである。既存の車両を使用できることから実用的であり、すでに軽油代替燃料としての利用が始まっている。しかし、現在の水酸化アルカリを触媒とする製法では有害廃液の副生によって、環境面での問題やコスト面での問題があった。高津淑人准教授は、これまでに石灰石を触媒とする製法を開発したことから環境面での問題は解決していた。しかし、コスト面での課題は依然そのままだった。
今回、グリセロリン酸カルシウムが副生できることを発見したことで、コスト面での問題も解決した。これは使用済の石灰石と副生物のグリセリンに350~400円/kgという安価なリン酸を転化することでグリセロリン酸カルシウムが生成されるからである。
都市部で排出される廃食油を都市部で加工・消費する仕組みが整えば、エネルギーの地産地消が実現できる。バイオディーゼルを利用するバスやトラックに活用できるという利点がでてくる。今後はこれまでのアイデアを検証しながら、さらなる生産効率の向上に取り組んでいく方針である。