2021年10月30日、甲南女子大学の教職員有志が「女性教育」をテーマにした書籍『本気で女性を応援する女子大学の探求―甲南女子大学の女性教育―』を出版した。甲南女子大学の全学的な取り組みに加えて、5学部11学科にわたる専門分野から女性や女性教育についての論考を紹介。世界的なジェンダーの議論の高まる中、女子大教職員が日本の女子大学の存在意義や今後の女性教育の在り方を問いかける一冊となっている。
日本に「女子大学」が誕生した時代から、日本社会自体も、女性に対する社会の期待・役割が変わり、女性の人生設計は変化した。多様な生き方を認める意識も浸透し、徐々に女性の選択肢は広がっている。
甲南女子大学では、学園創立100周年を経て「なぜか女性しかいない大学」になるのか、それとも「本気で女性を応援する、女性のための女子大学」になるのか模索を続けている。学生にとっての「女子大学で学ぶことの矜持」とともに「女子大学で教え、働くことの矜持」を、教職員が自分たちで生み出そう。そんな教育現場の思いがこの本の出発点になった。
この本の中で、甲南女子大学の教職員22名は「女性という記号」をもつ学生と向き合い、女子大学の存在意義や女性教育の取り組み、自身の専門領域から女性や女性教育との関わりについて、多角的かつ重層的に探求している。今の時代を生きる女子学生たちが、自身のジェンダーや女子大学をどのように捉えているかについても触れることができる。
読者層は、教育関係者をはじめ一般の読者を幅広く想定している。表紙には、女子学生の持つバルネラビリティ(傷つきやすさ)と強さの両面をイメージした、イラストレーター・古塔つみ氏のイラストを採用。「女性という記号をもつ」学生や高校生にとって、本書が自分らしく豊かに生きるための後押しにつながればとの願いも込めて、学術的な書籍とは異なり、比較的平易な文体で綴っている。