現在の大学進学率と東京都にある大学への進学者数が現状のまま推移すれば、2040年度に40%程度の大幅な定員割れが地方の大学で起きる可能性があることが、大学の地方移転などを検討する政府の有識者会議に報告された。委員の増田寛也元総務相が意見として提出した。
将来推計は現在の大学進学率51.5%、東京都にある大学への進学者数14.9万人、その他の道府県にある大学の定員44万人が維持されると仮定し、2030年度と2040年度の状況を予測した。進学者総数は大学進学率を基に18歳人口から推計、その他の道府県にある大学への進学者数は進学者総数から東京都にある大学への進学者数を差し引いた。
それによると、その他の道府県にある大学への進学者数は2015年度に46.9万人だったが、2030年度に37.1万人、2040年度に26.3万人と大幅に減少する。
この間、大学進学者総数も2015年度の61.8万人から2030年度52.0万人、2040年度41.2万人と急減するものの、その他の道府県にある大学への進学者数が全体に占める割合は、2015年度の76%が2030年度71%、2040年度64%と急降下する。この場合、その他の道府県にある大学の定員割れは大幅に拡大し、2040年度で40%に達するという。
逆に、東京都にある大学への進学者数が全体に占める割合は、2015年度の24%が2030年度29%、2040年度36%と急上昇する。
増田委員は「18歳人口が減少する中、市場原理に委ねたままでいると、地方の大学の経営悪化や撤退が進む事態となりかねない」と指摘している。