2017年3月、栃木県那須町の山岳地帯で春山登山研修中の生徒7人、引率教員1人が死亡した雪崩事故で、文部科学省は防災科学技術研究所の調査に1,890万円を助成することを決めた。雪崩発生のメカニズムや流下経路を解明し、今後の雪崩対策に生かすのが狙い。
文科省によると、調査には防災科学研究所の上石勲雪氷防災研究センター長を中心に、気象庁気象研究所、森林研究・整備機構森林総合研究所、北海道教育大学、東北大学、京都大学、日本大学など計11機関から31人の研究者が当たる。
専門は雪氷気象学、災害科学、傾斜地保全学など幅広い分野を網羅しており、多角的な側面からのアプローチが期待されている。
研究チームは現地調査に加え、ドローンによる上空からの撮影や地形情報の収集、降雪状況の面的解析、雪崩堆積状況の解析などを進め、今回の雪崩について実態を解明する。
さらに、雪崩シミュレーションを用いて被害範囲を推定するとともに、低気圧性の降雪を原因とする雪崩にも対応可能な積雪変質モデルを開発、山岳域雪崩発生リアルハザードマップを試作して今後の雪崩発生防止に向けた課題の検討、その解決策の提示を進める。
得られたデータや知見は取りまとめられ、全国の雪崩対策に対する提言として公表される。