女性科学者に明るい未来をの会(石田瑞穂会長)は、自然科学の分野で優れた研究成果を上げた女性研究者に贈られる2017年の猿橋賞に、千葉大学グローバルプロミネント研究基幹の石原安野(あや)准教授(42)を選んだ。石原准教授は2012年に宇宙から飛来した高エネルギーの素粒子「ニュートリノ」を世界で初めて検出した。
女性科学者に明るい未来をの会によると、南極の巨大な氷床を観測装置として利用する国際的な実験「アイスキューブ」に2004年の建設当時から参加し、2012年、高エネルギーのニュートリノ検出に成功。2013年に国際純粋・応用物理学連合の若手賞を宇宙線・粒子天体物理学分野では日本人で初めて受賞した。
アイスキューブ実験は世界12カ国から約300人に研究者が参加しているが、石原准教授はニュートリノ検出後も中心メンバーの1人として精力的に研究を進め、この分野にさまざまな新しい知見を加えてきたことが高く評価された。
ニュートリノは数十億光年彼方からでもエネルギーを大きく損なうことなく、銀河系まで直進する。ニュートリノを用いて宇宙を探索する天文学は、従来の光など電磁波観測による天文学で得ることができない知見をもたらすと期待されている。
石原准教授は静岡県出身。東京理科大学を卒業したあと、米テキサス大学に留学して博士号を取得した。
猿橋賞は、日本を代表する女性科学者の猿橋勝子さん(2007年死去)らの寄付金をもとに1980年に創設された。贈呈式と記念講演会は5月27日、東京都内で開かれる。