東京工業大学とANAグループは、ロボットの歩行支援によって旅行者が元気になる、新たな旅スタイルの創出をめざす連携について発表。12月13日、歩行支援ロボット「WALK-MATE」を装着して歩行する実証実験を、ANAのプロデュースにより初めて実施した。
「WALK-MATE」は東工大の三宅美博研究室が研究・開発を進め、東工大発ベンチャーのWALK-MATE LAB株式会社にて製品化された、人と「間(ま)」が合う歩行支援ロボット。一般的なパワースーツとは違い、四肢の動作のアシストだけではなく、自力歩行をリズムで支援し、自然で活発な歩行に改善する機器。2018年より医療機関に歩行トレーニング用として提供されている。
旅の第1弾として、香川県善通寺市の四国八十八ヶ所72番札所である曼荼羅寺から73番札所の出釈迦寺までの上り坂(約500 m)を、一般の参加者数名に協力してもらい、「WALK-MATE」を装着して歩く実証実験を12月13日に実施した。これをもとに今後、歩行支援ロボットを装着して旅をする効果と課題を検証する。
四国八十八ヶ所を巡るお遍路は、弘法大師と一緒に旅をする「同行二人」と言われている。「WALK-MATE」は総本山善通寺法主である真言宗善通寺派の菅智潤管長より「同行二人」ロボットと認定され、今回の取り組みは歩行支援ロボットによって「同行二人」を実現する新たなお遍路の形となった。
シニアを中心に人気のある四国八十八ヶ所参りが、最新技術により注目され、四国を訪れる旅行者が増えれば、地域創生にもつながる。研究グループは今後も実証実験を継続し、高齢化が進む日本社会において、シニアに元気になってもらうきっかけを提供し、健康寿命の延伸とシニアの移動促進を推進したいとしている。