東北大学生命科学研究科 脳機能発達分野・安部研究室は、小鳥の「ことば」を解読する研究促進のため、クラウドファンティングを行っている。プロジェクト期間は2021年12月20日~2022年2月28日で、目標金額は200万円。
多くの動物はその動物同士で通じる方法でコミュニケーションをとっているが、どんなメッセージをどのように送り合っているかまだ多くは解明されていない。安倍研究室では小鳥の音声コミュニケーションに注目し、小鳥がどのような状況でどのような音声を使用するのか研究している。小鳥が音声を使用する状況と行動パターンを把握するためには、野外でのコミュニケーションを詳細に研究する必要がある。しかし観察できる状況やデータの精度に課題を抱えていた。
そこで安倍研究室は研究室環境において、小鳥にヴァーチャルリアリティー(VR)技術で疑似的な社会状況を提示し、音声発声などの社会行動を取らせる実験系を確立。さらに小鳥が発する音声を、24時間遅延なくテキスト文字列へ変換する技術、逆にテキスト文字列から小鳥のさえずり音声を合成する技術を確立した。また、人工的に任意の音の並びからなる人工さえずりを作成し提示することにも成功した。現在、この技術を用いて、小鳥に人工的な社会状況や人工合成音声をVR情報として提示し、それに応じた音声の反応を24時間記録して随時解析を行っている。
今回のクラウドファンディングでは、より多くの個体から大規模に音声データを取得するための情報提示と録音に必要な実験機材増設を目的に実施する。データを大量に取得することで、将来的には多くの小鳥が発する「ことば」を解析し小鳥の「ことば」の理解の実現を早めていく。