Climate change: Mismatch between above- and below-ground plant responses to warming
気候変動に対する植物の応答は、地上部と地下部で異なると考えられることを明らかにした論文が、Nature Climate Change に掲載される。
植物の生活史上の出来事(春の開葉、開花、秋の落葉など)のタイミングは、植物の適応度と生存にとって非常に重要で、世界の人間の食料資源、生態系の機能、炭素循環にとって重要な意味を持つ。気候変動は、さまざまな植物の生活史上の出来事の変化をもたらしてきた。それは、地上部の変化によって明確に示されている。しかし、土壌中で起こっていると考えられている変化については、根系が植物の成長や陸域生態系の生産性に重要な役割を担っているにもかかわらず、十分に研究されていない。
今回、Xuhui Zhouたちは、88件の公開された研究のデータを解析し、気候変動に対する植物の応答が地上部と地下部で異なることを明らかにした。その差異の程度は、研究対象となった植物のタイプによって異なっていた。例えば、草本植物は、地上部の生育期の開始と終了が早くなり、結果として生育期全体の長さは変わなかったが、地下部の応答に変化はなかった。これに対して、木本植物は、気候温暖化によって地上部の応答に変化はなかったが、地下部の生育期が長くなった。
結論として、Zhouたちは、今回の研究のサンプルサイズが小さいことから、研究結果の解釈に注意を要すると強調している。サンプルサイズが小さいのは、利用可能なデータが限られており、特に植物の成長と陸上炭素循環に強く影響し得る地下部の変化に着目した研究が少ないためだ。そのため、Zhouたちは、さらなる研究が緊急に必要だとする見解を示している。
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「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
※この記事は「Nature Japan 注目のハイライト」から転載しています。
転載元:「気候変動:植物は地上部と地下部で温暖化に対する応答が異なっている」