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皮膚再生に寄与する細胞は皮下組織に由来、弘前大学らが発見 - 大学ジャーナルオンライン

 弘前大学農学生命科学部の横山仁准教授のグループは6月16日、東北大学大学院生命科学研究科、新潟大学理学部生物学プログラムらと共同で、両生類では皮膚の下にある皮下組織の細胞が傷口に移動し、真皮の再生に寄与することを発見したと発表した。これにより皮膚再生を可能にする細胞の特定・分析が可能になった。

 ヒトの全身を覆っている皮膚は表層の表皮と深層の真皮から構成されている。哺乳類では真皮に達する傷を負うと真皮を再生できず、代わりに瘢痕(はんこん)を形成して傷口をふさぐ。瘢痕は傷あととして残り、さまざまなトラブルをもたらす。これに対して両生類のアフリカツメガエルでは、皮膚の真皮まで傷つけられても瘢痕を作らずに真皮を含む皮膚構造をほぼ完全に再生できる。しかし、どのような種類の細胞が皮膚の再生に寄与しているのかはこれまで謎だった。

 今回、研究グループは変態後のツメガエルにおいて皮下組織の細胞をラベルする実験方法を新たに考案した。ここで用いた方法は全身が緑色蛍光タンパク質(GFP)でラベルされた個体とラベルされていない個体の間で皮膚を交換移植し、皮下組織のみがGFPでラベルされた状態を作るというもの。日本で樹立された純系統のツメガエルを利用することで拒絶の問題を克服し、胴体の背中において皮下組織のみがGFPでラベルされたツメガエル個体の作製に成功した。

 この個体を用いて皮膚再生における細胞の寄与を調べた結果、GFPでラベルされた皮下組織由来の細胞が傷口の下に移動して集積すること、さらにその後は再生した皮膚の真皮に寄与することが明らかになった。

 皮膚再生に寄与する細胞の起源が具体的に分かったことにより、皮膚再生を可能にしている細胞の性質が今後明らかになると期待できる。さらに哺乳類との比較によって、哺乳類が皮膚再生を行えない原因の解明にもつながると考えられる。そしてこれらの知見は将来において、深層まで傷ついたヒトの皮膚を、瘢痕を残さずに完全に再生させる治療法の開発に役立つと期待される。

論文情報:【Developmental Dynamics】Cells from subcutaneous tissues contribute to scarless skin regeneration in Xenopus laevis froglets

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