政府が東京23区内の大学新増設抑制を打ち出す中、文部科学省が2018年度からの定員増を認可したことに対し、全国知事会は大学に対する指導強化と新増設抑制の速やかな法制化を求める緊急声明を発表した。
声明は全国知事会会長の山田啓二京都府知事、文教環境常任委員長の佐竹敬久秋田県知事、地方創生対策本部長の古田肇岐阜県知事の連名。
声明では、文科省が私立47校の5,701人の定員増加を認めたうち、東京23区内の定員増が12校2,183人と全体の4割を占め、東京一極集中がさらに加速すると指摘したうえで、政府が閣議決定した東京23区の新増設抑制方針に逆行する措置だとして批判した。
文科省が直ちに大学に対する指導を強化するとともに、国として東京23区の大学学部の新増設、定員増抑制に向けて法制化を進めるよう要請している。
政府が6月、東京23区の大学新増設の方針を閣議決定したのを受け、文科省は定員増を申請していた私立大学に対し、見直しを求めたが、法制化されていないこともあり、各校とも「ぎりぎりの段階で見直しは困難」、「既に教員確保や施設整備が進んでいる」などとして要請に応じなかった。
大学設置・学校法人審議会が申請を認可するよう松野博一文部科学相に答申したのを受け、申請が認可された。
18歳人口が再び減少に転じる「大学の2018年問題」を前に、首都圏の私立大学は生き残りをかけて都心回帰を続けており、政府の規制強化も見越して駆け込みで定員増を申請していた。