コロナ禍が長期化する中、小学生から高校生までの子どもたちの間で学習意欲の低下傾向が見られることが、東京大学社会科学研究所とベネッセコーポレーションの社内シンクタンク・ベネッセ教育総合研究所の親子追跡調査で明らかになった。
東京大学によると、調査は全国の小学1年生から高校3年生の子どもとその保護者約2万1,000組を対象に、2015年から7年間にわたって追跡調査した。このうち、2019年から3年間の状況を抽出し、コロナ禍の中での子どもたちの生活と学び、それを取り巻く環境の変化について分析した。
その結果、「勉強する気がわかない」と答えた子どもが2019年の45.1%から2020年50.7%、2021年54.3%と年を追って増加し、子どもたちの学習意欲に低下傾向が見られることが分かった。学習意欲がわかない子どもは小学校で4割ほどだが、中学校や高校だと6割に達し、学校段階が上がるほど事態が深刻化している。
2019年からの3年間で学習意欲が向上した子どもは11.2%にとどまり、低下した子どもの25.8%を大幅に下回った。意欲の変化には学習方法の理解や授業の楽しさ、将来を深く考える経験などが関係している。
コロナ禍は3年目に入り、学校の授業もパソコンやタブレットを使用する事例が増えるなど環境の大きな変化が見られる。どうすれば子どもたちの学習意欲低下に歯止めをかけられるのか、学校と授業のあり方が問われているようだ。
参考:【東京大学】3年間で「勉強する気持ちがわかない」が半数以上に 学習意欲は低下傾向 ~ “学習方法の理解”や“授業の楽しさ”が意欲向上のカギ ~(PDF)