文部科学省は、中央教育審議会大学分科会、将来構想部会の合同会議に「地域における質の高い高等教育機会の確保のための方策について」と題した大学の統廃合や大学連携の事例集を配布した。人口減少時代を迎え、大学の規模縮小や効率化に議論を向かわせる意図もうかがえる。
事例集によると、学校法人の合併は1989年度以降、41件に上り、文科相所轄学校法人の解散は2003年度から2015年度までで14件あった。
国立大学の統合は2002、2003年度で香川大学と香川医科大学、神戸大学と神戸商船大学など12件が実現したほか、国立大学法人化後も大阪大学と大阪外国語大学の統合などがあり、1997年度の101校が2007年に86校に減少している。
私立大学は2003年度から2015年度に、慶應義塾大学と共立薬科大学、関西学院大学と聖和大学、上智大学と聖母大学が統合するなどし、14校を6校にまとめている。私立大学の廃止は2003年度以降、三重中京大学、神戸夙川学院大学、東和大学など10校に及んだ。
現在、統合協議が進んでいる大阪府立大学と大阪市立大学の実例も紹介し、経営スリム化による経費削減、事務の効率化により、統合が実現すれば2010年度に比べ、人件費や管理的経費が7%削減できるとしている。
このほか、教育課程の共同実施、大学コンソーシアムの整備、遠隔地の大学との単位互換制度の導入なども示した。2018年から18歳人口が再び、急激な減少に向かうことから、大学の規模縮小の方向へ議論を導きたい意向があると受け止められている。