東京農工大学と帝京科学大学の研究チームは、歩行中に生じる下肢のねじれストレスが、足部と骨盤の間の相対的なねじれ量(角度)に相関することを世界で初めて明らかにした。
人間はまっすぐ歩いていても、スネやモモ、骨盤などの体節がそれぞれ三次元的に回旋運動をしており、歩行中の足は接地時、外側に回旋する傾向がある。一方で、足裏は床面との摩擦で固定されるため、下肢全体にはねじれストレスが生じてしまう。下肢に生じるねじれストレスがどのように身体運動と関係するかは良く分かっていなかった。
今回、同研究チームは、ねじれストレスの指標として、これまであまり注目されていなかったフリーモーメント(摩擦によって生じる力)に着目した。このパラメータに着目して歩行運動を解析した結果、足が地面を蹴り出す際の股関節の柔らかさによって、下肢に生じるねじれストレスが制御されていることが示唆された。つまり、股関節の柔軟性が少ないほど、下肢へのねじれストレスが増大する傾向があることが分かった。
本成果は、人間の身体を各分節単位で考えるだけでなく、全体としてとらえる必要性を示しており、超高齢社会の健康問題、特に変形性膝関節症などのロコモティブ症候群へのリハビリや予防に活用することが期待される。