香川大学発スタートアップで、周産期のオンライン診療プラットフォームを開発・販売するメロディ・インターナショナル株式会社は、京都大学、熊本大学、株式会社島津製作所と共同で「妊娠うつ・産後うつの発症・重症化を防ぐための兆候を検知する技術」に関する共同研究を開始した。
近年、妊娠中・産後に発症するうつは、深刻な社会問題になっている。国立成育医療研究センターなどの研究によると、産後1年間に「メンタルヘルスの不調のリスクあり」と判定された母親は10.8%に上り、また、2015~2016年に妊娠中から産後1年未満に亡くなった女性の死因は自殺が最多だった。
そこで4者はメロディの心拍変動解析技術と島津製作所の心電デバイスを組み合わせることで、妊産婦のうつの発症・重症化の防止を目的にした「自律神経のバランスが崩れる予兆の検知技術(汎用アルゴリズム)」の開発を目指す。
メロディと島津製作所の連携は2021年10月に「内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021」(スタートアップ・中小企業による公共調達の活用推進プログラム)にて「産後うつの発症・重症化を防止するための産後うつ兆候検知技術」として認定されている。京都府などの協力を得て、2022年2月までに妊産婦、医療従事者、自治体、民間事業者を対象に80件以上のニーズ調査を実施。その結果、「妊産婦が自治体や医療機関に相談するきっかけとなるデバイス」の需要を確認し、開発を検討してきした。2023年末までの共同研究において、妊娠中・産後うつの兆候検知につながる汎用アルゴリズムを構築し、2024年度にサービスが提供開始できるよう進める。
メロディ・インターナショナル株式会社は、香川大学発スタートアップ。離島や医療過疎地の多い地元瀬戸内地方での産科医療の問題、さらにはJ-Startup認定企業として世界の発展途上国での「産科医不足」の課題に取り組んでいる。それらに対する画期的な解決策としてモバイル胎児モニター「分娩監視装置iCTG」と周産期遠隔医療プラットフォーム「Melodyi」を開発・製品化して、周産期の遠隔医療の普及に貢献。今回は、胎児モニタリングの知見を活かし、周産期のみならず、妊産婦が抱える課題により広範なソリューションを提供するため、産前・産後のメンタル不調という社会課題解決に挑む。
参考:【メロディ・インターナショナル株式会社】「妊娠うつ・産後うつ」の予兆検知技術の確立へ島津製作所、京都大学、熊本大学と共同研究を開始