科学技術・学術政策研究所は、産業への貢献の側面を把握する目的で、国立大学の研究者の発明に基づき様々な経路(企業、TLO等)で出願された特許を網羅的に調査し結果を公表した。
本分析にあたっては、国立大学の法人化前後20年(1993~2013年度、ただし、分析対象年度は1995~2012年度)に渡る全86国立大学法人の研究者※の発明に基づいた特許出願を抽出し、必要情報をデータベース化。データベースは、特許出願形態が多様であることを踏まえて、出願人情報と特許書誌情報全般を用いて「発明者に国立大学の研究者を含んだ特許出願であること」を検証し構築されている。
このデータベースを用いて各国立大学法人の研究者の発明による特許出願状況を分析したところ、今回の調査研究で、主に以下の状況が明らかとなった。
1995~2012年度の国立大学発の特許出願件数は56,668件。1995~2012年度を通した発明の特許出願実績を持つ国立大学の研究者は38,626名(実研究者数)だった。
これまで、国立大学の法人化(2004年以前)を境として国立大学法人の特許出願数が急増したことが知られていたが、国立大学の研究者の発明に基づいた特許出願も、法人化以前から漸増傾向にあった。
国立大学の研究者の発明に基づいた特許出願のうち、外国出願が行われた割合は、1990年代後半の20%台半ば程度から、2010年度以降は 40%超に増加した。
国立大学の研究者の発明に基づき出願され、審査請求が行われた特許の査定率は、2000年代初頭には50~60%であったが、その後、右肩上がりに推移し、2010年度以降、80%強となり、日本の特許出願の平均的な査定率(2012年度で65%強)と比較して高くなっている。
調査方法、結果等の詳細は科学技術・学術政策研究所のサイトで確認することができる。
※大学教員である教授、准教授、助教、助手、講師のほか、客員教授、特任教授などの非常勤教員、学部・大学院の学生、留学生、特別研究員などの契約職員、および技術職員などの教職員等を指す。
参考:【科学技術・学術政策研究所】国立大学の研究者の発明に基づいた特許出願の網羅的調査[調査資料-266]の公表について