名古屋大学大学院情報学研究科の川合伸幸教授らの研究グループが、信号の色や形に合わせて手足を反応させる実験をしたところ、高齢者は大学生に比べて反応の切り替えや抑制に際し、前頭葉のより多くの活動を必要とすることが分かった。最近、増えている高齢運転者のブレーキ踏み間違いによる事故の原因が脳活動にあることを示唆する結果となった。
名古屋大学によると、研究グループは大学生21人と高齢者23人を対象に、信号の形が〇なら右足で、△なら左足で、信号の色が緑なら右ペダル、赤なら左ペダルを踏む実験をし、脳で反応の切り替えや抑制を担う前頭葉の活動状況を調べた。
その結果、高齢者と大学生で成績に差は出なかったが、高齢者の前頭葉は大学生より多くの神経活動をしていることが分かった。さらに、高齢者、大学生とも足で斜めにペダルを押すときのほうが、多くの脳の神経活動を必要としていた。
一見すると高齢者の反応切り替え能力に問題がないようにも見えるが、研究グループは前頭葉の処理能力が限界を超えるとブレーキの踏み間違いなど大事故につながる可能性が考えられるとみている。
ただ、今回の実験だけでブレーキ踏み間違いの潜在的危険を検出できないとして、実際の運転にもっと近い状況で研究を進め、原因解明に努めることにしている。