日本経済の生産性向上を目指し、経営系大学院の機能強化を検討している文部科学省は、協力者会議の第2回会合で今後の論定整理を提示した。実践性の高い研究と教育のバランスが取れた教員養成、特に生産性が低いサービス部門向け教育の充実などが柱で、協力者会議が夏ごろまで月1回程度の会合開き、報告書をまとめる。
文部科学省によると、論点整理では基本認識として日本の生産性が米国の6割程度にとどまり、経済成長のために国民1人当たりの労働生産性を引き上げる必要があると指摘した。特に地方の非製造業は国内GDPの4割を占めるが、都市部に比べて生産性が低く、早急に地方創生に資する人材育成が求められるとしている。
中でもサービス分野は他業種に比べて生産性が低いことから、経営系大学院がそこにアプローチする教育を行う必要性を示した。
欧米では企業内主要ポストでMBAを有する人物が評価されているが、日本はそういう状況でないことから、産業界に大学院で得られる知識や能力、学位に対する理解を深めてもらう必要があると指摘している。
経営系大学院の教育向上には、実務感覚を持ちながら教育できる人材が欠かせない。しかし、そうした人材が不足しているとして、ビジネスを通じて解決する実践的な教育の充実に向け、教員の養成が必要との認識を示した。
産業界との連携では、社内教育への講師派遣など経営系大学院が貢献できる方策を模索するとともに、産業界が経営系大学院に社員を派遣しやすくするため、短期集中型プログラムの検討も課題に挙げている。