日本女子大学家政学部被服学科の多屋淑子教授が、2018年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞(開発部門)」を受賞した。
「科学技術分野の文部科学大臣表彰」は、科学技術に関する研究開発や理解増進などにおいて、顕著な成果を収めた者と、その功績をたたえ、日本の科学技術水準の向上に寄与することを目的としている。表彰内容は、科学技術賞(開発部門、研究部門、科学技術振興部門、技術部門、理解増進部門)、若手科学者賞、創意工夫功労者賞、創意工夫育成功労学校賞。
多屋教授が受賞した「科学技術賞(開発部門)」は、日本の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与し、実際に利活用されている画期的な研究開発若しくは発明を行った者が対象。受賞者は、応募件数70件のうち、29件(96名)だった。
多屋教授の受賞内容は「人間生活の QOL向上に資する宇宙船内服と実用化技術の開発」。米国やロシアも行っていない国際宇宙ステーションの生活の質(QOL)向上に役立つ宇宙船内服を開発した。高機能の消臭抗菌技術が船内服を長期間清潔に保つことを可能にし、縫製方法などの軽量コンパクト化技術は、着用済み衣服がゴミと化す量を減少させるなど、宇宙の環境負荷の低減につなげた。
また、動きやすさ、肌触りの良さ、温熱的な快適さなど快適な着心地の船内服で、宇宙飛行士たちの心身の健康を保つことにも役立つ。この船内服はNASAのスペースシャトルミッションに搭載され、宇宙飛行士から評価を得た。
このように、着替えのできない過酷な状況の生活支援に有用で、日常生活の快適化のはもちろん、災害時の衣服や介護福祉分野に活用できるなど、今後もさまざまな場面で大きな効果が期待できる点が評価された。
このほか、科学技術賞研究部門は、「ナノゲル基盤材料創製とバイオ応用に関する研究」で京都大学大学院工学研究科 秋吉一成教授、振興部門では、「多能性幹細胞から卵子を再生する技術の振興」で九州大学大学院医学研究院林克彦教授などが受賞した。