千葉市は2016年1月に「幕張新都心を中核とした『近未来技術実証・多文化都市』の構築」を掲げて国家戦略特区の指定を受け、先端技術を活用したドローンや自動運転等の技術実証、新たなビジネスモデルの創出に向けた取組みを進めてきた。その一環として、高齢者や障がい者、外国人を含めた誰もが交通事情等に応じたモビリティを選択し、ストレスなく付加価値のある快適な移動を実現するため、幕張新都心地域限定・路線限定ルートに自動運転車の導入を想定した実証実験の事業者を公募した。

　埼玉工業大学ら6社は、幕張新都心地域における自動運転の技術的課題の検証と解決だけでなく、2023年3月のJR京葉線 幕張豊砂駅開業を見据えた旅客輸送の確保、都市の回遊性向上や街全体の賑わい創出に向けた移動サービス実装を提案し、採択された。

　実証実験では、車両・自動運転技術の検証（LiDARによる自社位置推定技術、遠隔監視など）などの技術面と、自動運転バスの社会受容性の検証などのサービス面の検証を行う。埼玉工業大学は、開発・所用する日野レインボーⅡベース中型自動運転バス（自動運転システムAutoware、LiDAR、GNSアンテナ等搭載）の提供、チューニング支援、ドライバートレーニング対応を担当する。

　埼玉工業大学の自動運転バスは、公道を法定速度内で特別な交通規制などなく、一般車両と混在して安全に走行できることが特長。これまで、地元の埼玉県深谷市をはじめ、県内の各種実証実験に多数参加したほか、県外では、兵庫県・西播磨、愛知県・中部国際空港島、日間賀島、神奈川県・横須賀、栃木県・茂木町などの実証実験に多数参加し、自動運転技術の開発を進めてきた。AI（人工知能）技術を積極的に活用し、自動運転関連に必要なソフトウエアを独自開発するなど自動運転技術を高めている。幕張新都心地域での車両提供は2022年に続いて2回目で、今回は最新の中型バスの提供などで協力する。

参考：【埼玉工業大学】2022年度千葉市未来技術等社会実装促進事業（自動運転車社会実装サポート事業）に基づく 自動運転実証実験の実施について