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骨の元になる細胞を簡便・短時間に採取して移植・生着させることに成功 岡山大学 - 大学ジャーナルオンライン

 岡山大学学術研究院 医歯薬学域 口腔病理学分野の河合穂高助教らのグループは、骨や軟骨に分化できる間葉系幹細胞を、骨髄組織から簡便かつ多量に採取する新技術を開発した。

 骨や軟骨などの間葉系細胞は、再生が困難なだけでなく長い時間もかかることが知られている。また、間葉系細胞に分化する間葉系幹細胞についても、組織の中にごく少数しか存在せず、採取も難しいことから、移植が困難とされている。

 本研究では、この間葉系幹細胞を、わずか10分で骨髄組織から簡単に分離し多量に取り出せる方法を開発した。実験用マウスの大腿骨および腓骨から採取した骨髄組織を、10分間酵素処理すると、酵素処理をしない場合に比べて有意に多い間葉系幹細胞を採取できることを発見したという。

 採取した細胞群は移植可能であり、酵素処理した骨髄を移植したマウスを観察した結果、移植後2ヶ月経っても骨芽細胞、軟骨細胞、間質細胞の存在を多数認めた。一方、酵素処理なしの骨髄を移植したマウスでは、これらは確認されなかった。すなわち、骨髄組織に酵素処理を10分間作用させるだけの技術により、多くの間葉系幹細胞が採取されるだけでなく、移植を行うと骨髄由来間葉系幹細胞が生体内に生着し、長期に存在するようになることが明らかとなったとしている。

 今後、この技術を応用し、人間でも骨髄組織から間葉系幹細胞を採取、移植することが可能となれば、骨折の治癒や骨の再生を促進することができる可能性がある。本研究成果は、高齢者など骨折の治癒に時間のかかる患者や、生まれつき骨の形成不全を伴う骨形成不全症の患者に対する次世代の再生医療の確立につながることが期待される。

論文情報:【JBMR Plus】Enzyme-cleaved bone marrow transplantation improves the engraftment of bone marrowmesenchymal stem cells

岡山大学

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