愛媛大学がミールワームなど昆虫飼料でマダイの養殖に成功し、4月から試験魚を市場へ出荷する。太陽石油からの寄付金で大学院農学研究科の三浦猛教授らが育てていたもので、従来のえさで育てた養殖マダイに比べ、成長のスピードが早く、味も遜色ないという。愛媛県は養殖マダイの生産量が日本一だけに、研究グループは昆虫飼料の国内生産も検討する。
愛媛大学によると、養殖マダイの飼料は従来、植物性原料に魚粉を50%ほど混ぜているが、今回の飼料は魚粉の代わりにミールワームと呼ばれる昆虫の幼虫を含んでいる。2022年7月から愛媛県宇和島市の養殖場で約8,000匹のマダイに昆虫飼料を与えて育てたところ、体重1.5キロほどに育った。
宇和島市築地町の水産会社で試食会を開いたところ、従来の飼料で育てた養殖マダイと味に遜色がないという声が多かった。昆虫飼料によるマダイの養殖や出荷は世界で初めてになるという。
アフリカを中心とする開発途上国の人口爆発や、地球温暖化の進行、過剰漁獲などによる水産資源の減少で世界の食料不足が心配される中、昆虫は新たなたんぱく源として注目を集めている。
養殖魚の飼料となる魚粉は多くをペルーやチリなどから輸入している。これを昆虫に切り替えると国内生産でまかなうことが可能になるとみて、愛媛大学は地元の水産会社などと連携して今後の展望を検討する。
参考:【愛媛大学】「昆虫を原料とした飼料によるマダイの養殖実証試験」~ミールワームを含んだ飼料で生育したマダイ~(PDF)