2020年度から始まる大学入学共通テストで導入される英語民間試験の取り扱いを検討していた東京大学のワーキング・グループ(座長・石井洋二郎副学長)は、導入に懐疑的な答申を入試監理委員会委員長の五神真総長に提出した。東京大学は7月中に民間試験活用方針を打ち出す予定だったが、9月以降に基本方針を示し、年内に最終判断する見通し。
東京大学によると、答申は優先度が高い順に
①成績の提出を求めない
②文部科学省など関係機関から納得のいく回答が得られれば、あらためて検討する
③国際指標セファールのA2レベル以上を出願資格とするが、例外を認める余地を残す
-を挙げた。
民間試験の比較方法や地域による公平性を担保できない懸念があることなどを問題視し、ワーキング・グループ内で意見を集約した。民間試験を合否判定に使うかどうかについて、事実上白紙に戻して再検討すべきとする内容といえる。
東京大学は3月、入試担当の福田裕穂副学長が民間試験を使わない方針をいったん示したものの、4月には一転して活用する方向を打ち出しており、学内で意見が一本化できていない一面をうかがわせた。
これに対し、国立大学協会は既に活用の方針を示している。文科省や国立大学協会は今回の答申に対し、静観の構えを崩していないが、他の大学に少なからぬ影響を与えそうだ。