経済産業省は、小売りや介護、観光などサービス業の経営者となる人材育成課程を持つ慶應大(東京都)、関西学院大(兵庫県)など17大学に補助金を交付することを決めました。きめ細やかな接客で国内外の評価が高い日本のサービス業を担う経営者を育成し、生産性の向上、活性化につなげるのが狙いで、今後5年間で50大学に支援の輪を広げることにしています。
日本のサービス業はGDP(国内総生産)の約7割を占め、その割合が年々拡大しています。日本経済が持続的に成長するには、サービス業の発展が欠かせないことから、政府の日本経済再生本部は4月、「サービス産業チャレンジプログラム」を策定し、サービス業の生産性向上、活性化を目指すことにしています。さらに、政府の日本再興戦略改訂でもサービス業の活性化が検討されています。
サービス業の生産性向上や活性化には、次世代の経営者育成が欠かせません。米国には1流ホテルの経営者を育てるコーネル大ホテル経営学部、食のハーバード大と呼ばれるカリナリー・インスティテュートといった専門機関がありますが、日本の大学はこうした取り組みが遅れてきました。企業間の競争が激しさを増し、消費者の好みが多様化する中、大学で理論と実践を兼ね備えた教育をして人材を育成する一方、市場のニーズに合った新たなサービスを開発することが求められています。
※インスティテュート 職業訓練的な性格が強い単科大学、研究所。