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レム睡眠に必須な遺伝子を発見、睡眠障害の治療法開発に期待 東京大学など - 大学ジャーナルオンライン

 理化学研究所の上田泰己チームリーダー(東京大学教授)らの国際共同研究グループは、レム睡眠に必須なニつの遺伝子を発見し、レム睡眠がほぼなくなっても生存するマウスの作製に初めて成功した。研究グループには東京大学、山口大学、近畿大学、クイーンズランド工科大学(オーストラリア)が参加している。

 レム睡眠は、身体は寝ているのに脳は起きているという、覚醒とノンレム睡眠の中間の状態と考えられている。神経伝達物質の一つであるアセチルコリンはレム睡眠を誘導する分子として知られているが、本当にレム睡眠に不可欠なものであるかはこれまで不明だった。

 今回、国際共同研究グループは、脳・神経系49部位のマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析、新しいマウス遺伝学ツール「tTR」の開発、トリプルCRISPR法などの個体レベルの遺伝学的手法を駆使することで、アセチルコリンの受容体遺伝子であるChrm1とChrm3が睡眠量の制御に重要な働きをしていることを明らかにした。特に、その両方の遺伝子を同時に欠失させたマウスでは、レム睡眠がほとんど検出されないことを発見した。

 今回の成果を利用して、レム睡眠を特異的に操作する技術や薬剤が開発され、さらなる睡眠研究ならびに睡眠障害に対する効果的な治療薬の開発が進展することが期待できる。また、今回の研究で初めてレム睡眠がなくなっても生きられる個体の存在を確認。このことは、レム睡眠が動物にとって本当に必須なのか、必須であるのならどのような役割を持っているのか、そして睡眠はどこまで削れるのかという問いを、改めて検証するきっかけになると考えられる。

論文情報:【Cell Reports】Muscarinic acetylcholine receptors Chrm1 and Chrm3 are essential for REM sleep

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