秋田大学などの共同研究グループは、温泉に入ると本当に良く眠れるのかについて実験。その結果、塩化物泉と炭酸泉に入ったときに深く眠れていることが分かった。研究には愛媛大学、東北大学、名古屋大学、名古屋工業大学が参加している。
入浴すると早く寝つきぐっすり眠れるが、疲労回復や健康増進に用いられてきた温泉の睡眠に対する効果は不明だった。そこで研究グループは、塩化物泉と人工炭酸泉(天然炭酸泉は少ないため)の睡眠促進への効果を調べた。
健常男性8名に塩化物泉、人工炭酸泉、普通浴、入浴なしの条件で睡眠を評価した。4回にわたっていずれかの条件で就寝前に入浴。40°Cのお湯に22時から15分間浸かり、0時から7時まで就寝。就寝中は簡易脳波計と体温計を装着し、入浴前後と起床時に眠気や疲労感などのアンケートに回答した。
その結果、入浴したときの方が、入浴しなかったときよりもよく眠れており、特に温泉、塩化物泉(ここでは秋田温泉さとみ)と人工炭酸泉に入ったときに深く眠れていた。
同じ温度のお湯でも塩分や炭酸ガスによる加熱作用の強い温泉に入ったときには、熱の取り込みが大きく、入浴後に深部体温が大きく上昇した。また、深部体温の上昇が強いと、その反動で放熱が進み、入浴後90分後には深部体温が入浴しない時に比べて下がった。深部体温の下降は眠気や熟眠をもたらすことが分かっている。これにより温泉浴で深い睡眠が出現した。また、塩化物泉は入浴後に疲労感があるため、虚弱な高齢者には人工炭酸泉が最適という。
今回の研究結果は、睡眠に対する温泉の効能を証明した重要な発見であり、不眠症の治療や秋田地方の温泉の活用に役立つものとしている。