2016年春に卒業を予定している大学生の就職活動日程が「後ろ倒し」されたことにより、「就職活動が長期化している」と考える大学、短大が6割近くに及ぶことが、文部科学省と国公私立大学、短大、高専関係団体でつくる就職問題懇談会の全国調査で明らかになりました。就活「後ろ倒し」を実施する企業としない企業が混在するためです。卒業論文の作成や授業への出席など学業への影響については、ほぼ半数の大学、短大があるとみており、学生ばかりにしわ寄せが来る厳しい実態が浮き彫りになったといえそうです。
調査は全国の国公私立の大学、短大合わせて82校が対象。就活中の学生の現状を把握するため5月に実施されました。それによると、「就活期間が長くなった」と答えた大学、短大が58.5%に上るのに対し、「短くなった」は17.1%、「あまり変化はない」は20.7%にとどまりました。学業への影響に対しては、24.4%が「支障が増えそう」、25.6%が「支障が生じそう」と回答しています。その理由については、「卒論・修論への影響」と「授業への出席」がともに75.5%を占めました。
日本経済団体連合会は、就職活動の短期化を目指す政府の要請を受け、2016年春の卒業予定者から企業が説明会を始める時期を大学3年生の12月から3月に、面接など選考開始を4年生の4月から8月に繰り下げました。しかし、経団連に加入していない中小零細企業やIT企業、外資系企業の中には「後ろ倒し」をせずに採用を進めているところがあるほか、中小企業から早々と内定をもらっても、第1志望の大企業を目指して就活を続ける学生も多いようです。文科省は「調査結果を検証したい」としていますが、就活「後ろ倒し」の方針が既に形骸化している一面もみられます。