筑波大学と相続手続きのプラットフォーマー事業「みんなの相続窓口」を展開する株式会社ルリアンが行っている「相続工学」に関する共同研究論文『相続時調査データによる相続と空き家発生との関係分析』が、日本都市計画学会の主宰する学術論文集『都市計画論文集 Vol.58 No.3』に掲載された。
『相続時調査データによる相続と空き家発生との関係分析』は、深刻化する空き家問題に対処するため相続空き家発生メカニズムを定量的に考察することを目的としている。国土交通省の2014年度調査によると、空き家の半数以上が相続によって発生していることがわかった。そこでこの論文では体系的に整理された相続に関するデータを空間分析し、相続空き家発生メカニズムを定量的に考察。潜在的な空き家の発生率と、全国の空き家調査で示される現在の空き家率の関係を明らかにしたのち、相続属性に関して、クロス分析やロジスティック回帰分析を行い、空き家を発生させやすい相続と建物の特性を把握する。
筑波大学システム情報系の大澤義明教授(指導教官)は「空き家は全国に膨大にあり今後も増え続けていくことは確実です。建物が空き家となる主たるターニングポイントは相続です。相続後に良好な建物として不動産価値を維持し地域のまちづくりに引き続き貢献していくためには、相続時での対応や判断のスピード感が求められます。本研究では、大量のデータをもとに地域性や属性などの相続パターンと空き家発生との関係を分析しております。本研究が空き家問題解決の一助となることを願っています。」とコメントしている。
論文の発表は、2023年11月10~12日に岩手大学で開催される日本都市計画学会第58回論文発表会にて行われる。