中部大学の飯吉厚夫理事長・総長は、ロシア科学アカデミーから名誉博士号の称号を授与された。核融合エネルギーの実現を目指す核融合・プラズマ研究への貢献と、グローバルな大学教育と研究開発への貢献が評価されたことによる。ロシアのプーチン大統領主催の国際会議に出席した際、ロシア科学アカデミーのウラジーミル・フォルトフ前総裁から証書が手渡された。
飯吉理事長・総長は、1989年から1999年にかけて文部科学省の核融合科学研究所(現・自然科学研究機構の一研究所)の初代所長として、日本独自のヘリカル型磁場配位に基づくヘリオトロン研究を推進。1990年に超電導技術を使う世界最大の大型ヘリカル装置(LHD)を主力とする大型プロジェクトをスタートさせ、1998年に計画通り建設を完了。その後のプラズマ実験の成果によってこの分野に新たな価値観を与えた。ヘリカル型の研究はロシアにおいても活発で、ロシアとの研究協力の成果も評価に反映された。
その一方、1999年から中部大学で、教育・研究の充実と発展、高温超電導直流送電に代表される大学発のプロジェクトの推進に大きく貢献。高温超電導送電技術の開発は、ロシアでは国営送電大手のロスセチ(ROSSETI)が積極的に進めている。2017年9月にプーチン大統領と安倍晋三首相が出席し首脳会談が行われた東方経済フォーラムにおいて、ロスセチと中部大学の間で研究開発協力に関する覚書が調印された。これらの実績も名誉博士号授与の評価点となった。現在は、中部大学とロスセチ両者の間でさらに一歩進んだ具体的な共同プロジェクトの立ち上げが検討されている。
参考:【中部大学】飯吉厚夫理事長・総長、ロシア科学アカデミーより名誉博士号 ─核融合・プラズマ研究推進、グローバルな大学教育と研究開発に貢献