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関西医科大学などがプロスタグランジン受容体の立体構造解明、アスピリンを超える新薬期待 - 大学ジャーナルオンライン

 関西医科大学の清水(小林)拓也教授らの研究グループは、京都大学、熊本大学との共同研究により、プロスタグランジン(PG)の受容体の立体構造を世界で初めてX線結晶構造解析によって解明した。PGが関与する急性・慢性炎症やがんなどの様々な疾患に対する、有効性が高く副作用の少ない治療薬が期待される。

 PGは、特異的な受容体に結合して急性炎症の発赤や熱感、腫脹、痛みなどの局所反応から、発熱、倦怠感、食欲不振などの全身反応まで幅広く関与する。アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬は、PG合成酵素を阻害することで、生理活性物質である一連のPGの生合成を抑えて効果を発揮する。近年は、PGの慢性炎症作用やがんへの作用が注目され、基礎研究ではアスピリンによる様々ながんの発症・進展の抑制作用が報告されている。現在、受容体を基盤にPGの良い作用を促進し、悪い作用を抑制する選択的な薬物「スーパー・アスピリン」の開発が期待されている。

 研究では、まず昆虫細胞を用いてPGの一つであるPGE2の受容体(EP3とEP4)を大量に発現。次に、EP4に対してはPGE2-EP4シグナルを阻害する抗体をEP4に結合させ、「脂質立方相法」と呼ばれる方法を用いて結晶化した。さらに、京都大学と千葉大学が開発した「理論的耐熱化予測法」を利用し、結晶の分解能向上に成功。EP4拮抗薬が結合したEP4と抗体の複合体の立体構造とPGE2が結合したEP3の立体構造を解明した。

 今回、多くの薬物の開発が期待されている標的分子・プロスタグランジン受容体の「形」が原子レベルで解明された。今後その立体構造を基に慢性炎症、がん、精神疾患などに対して、有効性が高く副作用の少ない治療薬の探索・設計が可能になると期待される。

論文情報:【Nature Chemical Biology】Ligand binding to human prostaglandin E receptor EP4 at the lipid-bilayer interface

京都大学

「自重自敬」の精神に基づき自由な学風を育み、創造的な学問の世界を切り開く。

自学自習をモットーに、常識にとらわれない自由の学風を守り続け、創造力と実践力を兼ね備えた人材を育てます。 学生自身が価値のある試行錯誤を経て、確かな未来を選択できるよう、多様性と階層性のある、様々な選択肢を許容するような、包容力の持った学習の場を提供します。[…]

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関西医科大学

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1928年に創立された医療系複合大学。”慈しみ めぐみ 愛”を心の規範とし、高度な医学的知識に裏打ちされた人間性豊かな医療人を育てています。医学部・看護学部・リハビリテーション学部のどれもが、最先端の設備・機器やトップクラスのシミュレーション環境、そして経験豊[…]

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