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被ばく線量率が高いと血球・骨髄細胞が減少、福島原発周辺のサルを東北大学などが解析 - 大学ジャーナルオンライン

 東北大学の福本学名誉教授、同災害復興新生研究機構の鈴木正敏助教らの共同研究グループは、東京電力福島第一原子力発電所事故後に原発周辺地域で捕殺された野生ニホンザルの血液中の血球数と骨髄中の血液細胞数を解析。その結果、成獣個体では内部被ばく線量率に伴い抹消血と骨髄中の血球数が減少する傾向があることを発見した。共同研究には他に、広島大学、東北野生動物保護管理センター、東京医科大学、新潟大学、東北医科薬科大学が参加。

 被災動物の包括的線量評価事業において、福島原発周辺地域で頭数調整のために捕殺されたニホンザル(被ばく群)と、比較として宮城県で捕獲されたニホンザル(非被ばく群)合わせて 95 頭について、血液または骨髄試料を採取して各成分を解析し、長期間の低線量率放射線被ばく影響を調査した。

 捕獲時の骨格筋中の放射性セシウム濃度から内部被ばく線量率を、捕獲地点の土壌中放射性セシウム濃度から外部被ばく線量率を計算(注)し解析を行った。その結果、成獣の場合、血液中の白血球と血小板数ならびにこれらの血球の元となる骨髄中の骨髄系細胞と巨核球が、内部被ばく線量率と負の相関を示した。これはサルの内部被ばく線量率が高くなると造血機能が低下することを示唆している。

 現在まで、野生ニホンザルに肉眼的に異常は認められない。長期間の低線量率放射線被ばくに対する生体の応答は、馴化や適応も考えられ、非常に複雑とされることから、今回の研究で示された血液・骨髄成分の将来的な変化、および長期低線量率の内部被ばくの影響を知るために、長い期間経過観察を続ける必要があるとしている。

注:被ばく群の野生ニホンザルでは、内部被ばく線量率が中央値 7.6μGy/日(最小1.9~最大219μGy/日)、外部被ばく線量率が中央値13.9μGy/日(最小6.7~最大35.1μGy/日)であった。

論文情報:【Scientific Reports】Haematological analysis of Japanese macaques (Macaca fuscata)in the area affected by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident

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大学ジャーナルオンライン編集部

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