理化学研究所、大阪市立大学、熊本大学、兵庫教育大学、生理学研究所の研究グループは子供の慢性疲労(CCFS)では脳の活動が異常に活性化していることを突き止めました。この活動を緩和することがCCFSの症状緩和につながるかもしれません。
グループは子供に対して複数の作業を同時に行うテストを実施しながら、脳の血流を測定することで活動している部位を観察することを試みました。平仮名で書かれた物語を読み、母音を拾い上げながら内容を把握するテストです。その結果、CCFS児は健常児に比べて前頭葉など2か所が過剰に活性化していることが分かりました。さらにこの部位を詳細に調べたところ、疲労の度合いが高ければより活発に活動していることも明らかになりました。つまりCCFS児は理解度を高めるために神経活動を活性化させていること、その結果非効率な脳活動や精神的な負担につながっていることが考えられます。
CCFS児に対して血流の測定から脳活動を調べた研究は世界初であり、脳機能が低下するのではなく過剰に働いていることを明らかにできたことは大きな意味があります。こうしたことから、前頭葉の活動を抑制することでCCFSの症状を改善できる可能性が出てきました。今後は治療法の確立に向けて研究を続けていく予定です。