宇宙航空研究開発機構(JAXA)は名古屋大学、会津大学、東京大学とともに、小惑星探査機「はやぶさ2」による小惑星Ryugu(リュウグウ)の探査活動に基づく初期成果をまとめた3編の論文が、『Science(サイエンス)』誌のウェブサイトに掲載された(日本時間3月20日)と発表した。「はやぶさ2」は2014年12月に打ち上げ、2018年6月にリュウグウに到着した。
第1の論文で、リュウグウはバルク密度(質量を体積で割った値)が低く、空隙率(粒子間にある空隙の体積割合)も50%以上のため、破壊された母天体の破片が再集積して形成されたラブルパイル(瓦礫)天体であることを示している。また、リュウグウは顕著な円形の赤道リッジを持つコマ(独楽)型で、過去の高速自転で形成したと推測している。
第2の論文では、「はやぶさ2」搭載の近赤外分光計(NIRS3)の観測により、リュウグウ表面に含水鉱物として水が存在することが示されたとしている。そのスペクトルの特徴から、構成物質が加熱や衝撃による二次的な変成作用を経験していること、さらにNIRS3による全球観測により全体的に均質な組成であることも判明。また、リュウグウなどの小惑星は地球に水をもたらした有力候補の一つとされ、分析により地球の水の起源解明も期待されるという。
第3の論文によると、リュウグウのような1km程度の小惑星は、太陽系初期に形成した大きな母天体の衝突破壊で産まれたとされるが、リュウグウは小惑星ポラナかオイラリアから産まれた可能性が高いことが分かったという。また、表層1m程度は、100万年程度以下で物質が入れ替わっている可能性が高く、表面岩塊は内部に空隙を多く含む角礫岩状の構造を持つと推定している。