文部科学省は2019年4月9日、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者を顕彰する「科学技術分野の文部科学大臣表彰」で、平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者を発表した。
静岡理工科大学学理工学部機械工学科エア・モビリティ研究室の佐藤 彰教授は、京都大学大学院の中西弘明講師、アイエスの大川宏久社長、ヤマハ発動機の中村克統括部長らと産業用無人ヘリコプター(ヤマハ発動機)の制御装置の開発における業績が認められ、開発部門で受賞した。
■受賞概要
【業績名】
産業用無人ヘリコプタの制御装置の開発
【受賞者名】
佐藤 彰 静岡理工科大学理工学部機械工学科教授(筆頭者)
中西弘明 京都大学大学院工学研究科講師
大川宏久 有限会社アイエス取締役社長
中村 克 ヤマハ発動機株式会社ソリューション事業本部ロボティクス事業部UMS統括部長
【業績概要】
産業用無人ヘリコプタは農薬散布用として開発されたが、飛行特性が不安定であることから操縦は難しく、その普及は進まなかった。また、火山観測などの災害対応用途の利用には、自律で飛行する制御システムの開発が必要であった。
本開発では、農薬散布用の姿勢制御装置および速度制御装置の開発を実施した。また、災害対応用途向けには、自律航行型飛行制御装置の開発も実施した。
本開発により、産業用無人ヘリコプタの操縦安定性が高まり、初心者でも安心して散布作業が行えるようになった。現在では稲作での散布面積は45 パーセントを超え,麦や大豆等にも利用が拡大され、日本の農業には欠かせないものとなっている。また、自律航行型飛行制御装置により、可視外でも決められたルートを安全に飛行することが可能となった。この結果、火山観測や東日本大震災後の線量率モニタリングなどの災害対応用途向けにも活用できるようになった。
本成果は、世界に先駆けて農業や災害対応などの産業用途に無人ヘリコプタの活用を実現したことであり、農業振興や災害復興に寄与している。