システム開発のJIECが開発した講義支援システムのバーチャル・ティーチング・アシスタントを近畿大学が実際の講義に活用したところ、学生からの質問応答業務を大幅に短縮させる効果を持つことが分かった。研究成果は6月、新潟市で開かれる2019年度人工知能学会全国大会で発表される。
近畿大学によると、同アシスタントは学生が講義中や講義後にモバイル、パソコンからウェブプラウザを介して質問すれば、AI(人工知能)が既存のQ&A集などを活用して自動回答する仕組み。
近畿大学は2018年9月から2019年3月までの間、大阪府東大阪市の東大阪キャンパスで開講された理工学部の後期授業「情報メディアプロジェクトⅡ」で同アシスタントを運用して有効性を検証した。
その結果、受け付けた質問総数約1,600件に対し、57%の確率で正しい回答を示していた。回答できなかった質問も収集、可視化し、講師や大学院生らが学生の疑問を解消するのに役立った。同アシスタントが24時間365日、学生の質問に対応が可能になるのに加え、学生のニーズや疑問を効率よく収集するフィードバック機構の役割を果たしているとみている。
近畿大学は大学院生をティーチング・アシスタントとし、学部学生への助言や教育補助業務を担わせているが、実習などの際に多数の質問が集中して講師と大学院生で対応しきれないこともあった。