QS Quacquarelli Symonds社は世界大学ランキングの最新版を発表。ランクインした日本の41大学のうち24校が順位を落とし、今回初めて、研究パフォーマンスにおける上位100位以内に日本の大学が入らなかった。
QS世界大学ランキングは、世界の大学の上位1000位までを網羅したもの。学術研究者の回答に基づく「学術評判」、企業側雇用者の回答に基づく「雇用者評判」のほか、「教員1人当たりの被引用数」「教員数対学生数比率」「外国人教員比率」「留学生比率」、以上6つの指標によりランク付けされている。
最新版「第16回QS世界大学ランキング2020」よると、マサチューセッツ工科大学が8年連続世界1位という新記録を樹立。日本の最上位は22位の東京大学で過去最高順位となった。「学術評判」指標では世界で8校のみの満点を獲得し、アジア圏では東京大学だけだった。このほか、100位以内にランクインした日本の大学は、京都大学33位、東京工業大学58位、大阪大学71位、東北大学82位だった。
今回の結果から、日本政府が推進する「留学生30万人計画(2020年までに30万人の留学生を日本の高等教育機関に招く計画)」は順調に進んでいるものの、世界における教育の国際化のスピードは日本以上に速いことが浮き彫りになった。世界の1002大学で学ぶ2329万人の学生のうち、286万人が留学生(8名に1名)。しかし日本では、ランクインした41校の留学生は7.79%(13人に1人)に留まっている。
また、日本の41校のうち33校で「教員1人当たりの被引用数(5年間に大学の研究論文が引用された件数を教員数で割ったもの)」のスコアも低下。これは、世界の競争相手に対し、日本の大学は研究パフォーマンスの向上と国際化に遅れを取っていることを示している。さらに、35校が「雇用者評判」のランクを落とし、日本の大学の卒業生ついての肯定的意見は減少した。
QSの調査部門長Ben Sowter氏は、日本の大学について「この10年間、日本の大学はより多くの留学生を招くことができるようになったが、競合する多くの国が、高等教育セクターの国際化の速度において日本より優っている。研究のための資金調達も中国、シンガポール、韓国の高等教育界が国から集中的な奨励プログラムによって(資金的)恩恵を受ける一方、日本の大学は同様の研究開発投資を受けておらず、よって、日本の大学が研究パフォーマンスの上位100位までにランクインしなかったことは想定内のこと」という見解を示した。
参考:【PR TIMES】日本の大学は世界大学ランキング2020で苦戦 – QS World University Ranking