岡山大学と大阪大学の研究グループは、天王星や海王星が持つ強い磁場の起源が、惑星内部の“金属の水”に流れる電流であることを解明した。
太陽系の惑星のうち最も外側にある天王星と海王星の主成分は、水に炭素と窒素が少し混じったものと考えられている。“氷惑星”とも呼ばれるこれらの惑星は、地球のほぼ4倍の大きさと15~17倍の質量を持ち、その内部は高い温度と圧力の世界だ。
1980年代に天王星と海王星に相次いで到達したNASAの探査機・ボイジャー2号は、これらの氷惑星が地球の数十倍の強さの磁場を作る源を内部に持っていることを明らかにした。強い磁場が作られるためには、強い電流が流れ続けることが必要だが、氷惑星の主成分である水は電気をあまり通さないため、磁場発生のメカニズムは長年にわたって謎だった。
本研究では、仏日の国際協力により、両国を代表する二つの高強度レーザー施設を使ってこの謎を解くための実験を行った。水を主成分として炭素や窒素を少し含んだ惑星模擬溶液を準備し、高強度レーザーを照射して強く圧縮することで、約300万気圧という惑星内部の圧力を再現した。ただし、この巨大な圧力はナノ秒(10億分の1秒)程度しか維持できないため、タイミングを合わせて計測用レーザーをあて、反射してくる光の強さを高速度カメラで撮影することにより、水溶液の性質を計測した。
その結果、水溶液は光を反射する金属の状態になっていることがわかった。また、興味深いことに、純粋な水の場合と比べて、炭素を含む場合に反射率が顕著に上昇することがわかった。以上から、このような金属的な流体中に流れる電流が氷惑星の磁場の源であり、炭素イオンが水の性質に影響を与えていると考えられた。
“金属の水”の存在を実証し、氷惑星の磁場の起源が明らかになったといえる。