奈良女子大学と奈良教育大学は法人を統合して2021年10月を目標に新法人の「国立大学法人奈良」を設立することで合意した。新法人にはトップの下に各大学の学長らからなる役員会と経営協議会を設置したが、本部の設置場所などについては今後、検討する。
奈良教育大学によると、合意書の調印式は奈良県奈良市北魚屋東町の奈良女子大学で開かれ、奈良教育大学の加藤久雄学長、奈良女子大学の今岡春樹学長が合意書に調印した。同時に新法人設立に向け、さまざまな検討や調整を行う国立大学法人奈良設立推進協議会、実務を担当する設立準備会を設置した。
両大学は2018年7月から法人統合の検討を進めてきたが、1法人が複数の大学を運営する「アンブレラ方式」を可能とする改正国立大学法人法が5月に施行されたのを受け、合意書を結んだ。
法人統合は少子化が進む中、大学の競争力を強化し、経営効率を高めるのが狙い。将来的には奈良先端科学技術大学院大学、奈良工業高等専門学校、奈良文化財研究所、奈良国立博物館の国立4機関と連携し、教育研究の場である「奈良カレッジズ」を構築する構想を持つ。
文部科学省によると、大学に進学する18歳人口は2017年で120万人を数えたが、今後急激な減少が続き、2032年に100万人を割ると推計されている。国立大学の中でも学生の減少で存続の危機に立たされるところが出るとみられ、北海道の帯広畜産大学など3大学をはじめ、法人統合で生き残りを模索する動きが全国で相次いでいる。