文部科学省は世界で活躍できる研究者の育成を可能とするプログラム開発事業の公募を始めた。優れた科学者を戦略的に育成する手段とするのが狙いで、研究分野で国際的な地位の低下が著しい現状を打開し、日本発のイノベーションを目指す。
文科省によると、支援対象は国公私立大学と研究開発法人。支援金は上限8,100万円で、事業期間が最大10年間。うち、助成期間が5年間となる。既に事業の募集が始まっており、8月末まで募集を続けたあと、9月に書類、面接審査を行い、10月に選考結果を通知する。
支援の条件となるのは、Society5.0(政府が推進する超スマート社会)を見据え、文理の壁を超えた研究者の成長と科学技術イノベーションの創出を目指す環境の形成、海外研究機関から帰国した研究者や外国人研究者が切磋琢磨できる環境の整備、人事給与マネジメントをはじめとする若手研究者確保に向けた自発的な取り組みを持つことなどとしている。
日本はこのところ、発表される論文数が減少するなど国際的な地位を大きく落としている。人口減少が続く中、現状を打開するには、研究者の生産性向上を図る必要がある。このため、文科省は海外の取り組み事例も参考にし、世界トップクラスの研究者育成に向けたプログラムを開発するとともに、研究成果が海外からも評価され、海外から研究資金を得られる世界水準の研究者を育成することを目指す。