文部科学省は2019年度国際原子力人材育成イニシアティブ事業(原子力人材育成等推進事業費補助金)の新規事業に近畿大学、東北大学など6件を採択した。福島第一原発の事故後、若者の原子力離れが続いているだけに、社会のニーズに合った人材を戦略的に育成する。
文科省によると、新規採択されたのは、大学関係が近畿大学の「教育訓練用原子炉を有効活用するための実習システムの充実化」、東北大学の「大学の大型ホットラボを活用した放射性廃棄物分離分析・原子力材料に関する人材育成プログラム」、東京工業大学の「国際原子力人材育成大学連合ネットワークによる原子力教育基盤整備モデル事業」、筑波大学の「原子力緊急時対応と放射性廃棄物処理・処分を支える高度人材育成事業」の計4件。
大学以外が若狭湾エネルギー研究センターの「廃止措置最先端技術・知識の習得による原子力技術者の育成」、三菱重工業の「軽水炉プラントおよび燃料に関する安全設計技術の体験的研修」の計2件。
文科省は5~6月に新規事業を全国から募集し、計8件の応募を受け付けた。外部有識者会議で審査の結果、うち6件を採択した。
福島原発事故以降、国内で原発の新設が進まず、輸出の見通しも立たないことから、原子力業界を希望する若者が減っている。しかし、施設のメンテナンスや廃炉のために人材確保が必要で、業界に危機感が漂っている。
参考:【文部科学省】令和元年度「国際原子力人材育成イニシアティブ事業(原子力人材育成等推進事業費補助金)」の新規採択課題の決定について