2019年11月12日、共立女子大学は地域連携プロジェクト「サステナブルファッションデザインによる地域連携」の一環として、神田・一ツ橋キャンパスにて家政学部被服学科・児童学科を中心にファッションショー「Cross ArtTech Fashion Show at Kyoritsu Women’s University」を開催した。ファッション産業は、途上国において雇用を創出している一方で、過去に合成染料による環境問題や労働問題を引き起こしてきた経緯もあり、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて積極的な取り組みを進めつつある。
共立女子大学では、家政学部の村瀬 浩貴教授が代表をする地域連携プロジェクトにおいて、北陸先端科学技術大学院大学 増田貴史 講師、山梨県立大学 杉山 歩 准教授、加賀友禅作家 久常 俊治 氏、ファッションイラストレーター 鄭 貞子 氏、サカイオーベックス株式会社、株式会社西山産業などの協力を得て、天然染料による環境負荷の低い新たな染色技法を用いた生地のドレスを制作し、ファッションショーで発表した。家政学部児童学科 村上康子准教授のピアノ演奏のもとで、本学家政学部被服学科の学生がモデルとしてドレスを着用して登場し、完成したドレスを披露した。
ドレスに使用した生地の染色には、兼六園菊桜の花びらや北陸地域の農産物から抽出した染料を用いており、クリーンな染色排水により環境負荷が低減されている。また、生地の一部は、石川県の伝統的な紬織物の牛首紬(うしくびつむぎ)にして使用しており、最先端の染色技術と伝統工芸の融合する試みにもなっている。衣料品の輸入が数量換算で97%を超え、金額換算でも78 %を超える日本において、新しいファッションを提案し、地域に根付く産業を活性化させることも重要な課題解決に向けた取り組みといえよう。
共立女子大学の地域連携プロジェクトを含む一連の活動は、2019年11月1日、国立研究開発法人科学技術振興機構が主催の「STI for SDGs」アワード の最優秀賞である文部科学大臣賞を受賞し、社会課題の解決に向けた取り組みとして高く評価された。日本とオーストリアの国交150周年記念事業にも位置づけられ、環境負荷が小さく安全性も高められる増田氏の草木染の新技術と日本の伝統技術を欧州に紹介する機会も創出している。