芝浦工業大学、電気通信大学、スイス連邦工科大学ローザンヌ校の国際共同研究グループが、電気駆動で流路内の液体を動かすことができる柔らかなポンプを開発した。
今回開発したポンプは、全体がシリコーンエラストマーなどの柔らかい材料で構成されており、屈曲するだけではなく伸縮することができる。従来の固く、騒音を出し、かさばるポンプに比べて、柔軟、無音、軽量(1グラム程度)という特長を持ち、かつ従来と同等の出力が可能だという、画期的な伸縮性小型ポンプだ。
内部には直径1ミリメートルの流路と電極の列があり、流路は誘電性液体で満たされている。誘電性液体に電圧を加えると、電極から電子が飛び出し、誘電性液体を構成する分子に電荷を与える。帯電した分子は他の電極に引き付けられ、流路内の他の液体を動かし、流路内に流れが生まれるというしくみだ。
人間の生活に溶け込み、適応できるロボットとして注目される「ソフトロボット」を実現するため、柔らかい、もしくは伸縮性をもった様々な部品が近年開発されているが、ポンプに対応するものはこれまでなかったという。重いポンプにつながれると、どうしても自律性を確保できないが、この伸縮性小型ポンプを用いれば、自律型のソフトロボットも製作可能となるとみられる。
そのほかにも、軽量なパワードスーツ、スマート衣類などへの応用が考えられ、人間の生活に親和するロボットの実現に向けて大きな役割を担うことが期待できるとしている。