中部大学 応用生物学部 環境生物科学科の長谷川浩一准教授らは、日本学術振興会 ヤンス・モルフェ外国人特別研究員(現キューバ生物生態・分類学研究所研究員)らと共同で、新種の線虫を発見した。
長谷川准教授らが発見した線虫は、中部大学春日井キャンパス(愛知県春日井市松本町)の裏山で捕獲したオオゴキブリに寄生していたことから、アオルロイデス属「チュウブダイガク」と名付け、国際認定された。
「チュウブダイガク」は大部分の動物の腸内に寄生するオキシウリダというグループの寄生虫で、病原性はない。「チュウブダイガク」やその仲間は、主にブラットデア目昆虫(通称ゴキブリ)に寄生し、宿主の免疫機構や健康バランスを整える良好な共生パートナーであることが分かっている。
ゴキブリの先祖は3億5千万年前に陸上に進出し、古生代石炭紀の主な陸上生物として繁栄したとみられている。「チュウブダイガク」の祖先はその時期にゴキブリの腸内に侵入し、良好な共生関係が確立された。現在提唱されている「寄生虫進化仮説」では、ゴキブリからこうした共生関係が動物全体に広がったとされる。