理化学研究所は神戸市中央区の神戸事業所に搬入・設置が進められている次世代スーパーコンピューター「富岳」を使った新型コロナウイルス感染対策に、室内環境でのウイルス飛沫感染予測の大規模シミュレーションを加えることを決めた。
理研によると、このシミュレーションは理研と京都工芸繊維大学、神戸大学、大阪大学、豊橋技術科学大学、鹿島建設が連携して進める。富岳に実装を進めている超大規模熱流体解析ソフトを活用し、くしゃみやせき、会話で発生する飛沫が室内の空気中をどのように漂うかを正確にシミュレーションする。
さらに、通勤列車内や教室、オフィス、病室などさまざまな室内環境で飛散シミュレーションをし、感染リスクを定量的に評価するとともに、窓の開閉や空調機器の効果的な運転方式などについて提言する。
富岳はスパコン「京」の後継機で、富士通が製造を担当した。当初は2021年から運用を始める計画だったが、新型コロナの感染拡大を受けてこれを前倒することになった。既に新型コロナ治療薬候補の探索や新型コロナのタンパク質の構造予測、パンデミックのシミュレーション解析、新型コロナ関連タンパク質に対するフラグメント分子軌道計算という4つの事業が採択されている。
参考:【理化学研究所】新型コロナウイルス対策を目的としたスーパーコンピューター「富岳」の優先的な試行的利用 実施課題の追加について