2016年春に卒業を予定している大学生の就職活動で、学生の6%が企業から内定と引き換えに就職活動を終えるよう強要され、7割の大学、短大に相談を持ち込んでいることが、文部科学省と国公私立大などでつくる就職問題懇談会の共同調査で明らかになりました。これを受け、懇談会は内定者の長時間拘束を自粛するよう求める声明を発表しました。
調査は国公私立大、短大計82校の就職指導担当部門と、就職希望の学生3,943人を対象に7月に実施しました。それによると、「学生の意思に反して就職活動の終了を強要するなどハラスメント的な行為の相談があったか」という質問に対し、大学、短大の68・3%が「ある」と回答しました。具体的な事例としては「面接の場で内々定の代わりに他企業へ電話で断りを入れるよう求められた」、「長時間にわたって拘束され、他企業の選考を受けられなかった」、「内定後、就活を続けていることが分かれば取り消すと警告された」などが挙げられています。
一方、「ハラスメント的な行為を受けたか」という質問に対し、学生は5.9%が「経験がある」と答えました。具体例としては「内々定の代わりに他社への就職活動をやめるよう強要された」、「何度も泊まりを含む呼び出しを受け、他社の選考を受けられなかった」、「7月末までに入社承諾書を書くよう迫られた」などの声が寄せられました。
大学生の就職活動は、2016年春に卒業を予定する学生から政府の要請で選考開始が4カ月、後ろ倒しされました。しかし、実際は例年通りに選考がスタートし、就活期間が長期化しただけになっているのが実情で、今後制度の見直しが議論されそうです。