筑波大学ビジネスサイエンス系の倉橋節也教授が新型コロナウイルスの感染プロセスをコンピューターモデルに実装し、市民らが実施可能な予防策の効果をシミュレーションしたところ、テレワーク、学校閉鎖など個々の予防策の単独実施や部分的な複合実施では大きな効果を得られないことが分かった。研究成果は人工知能学会論文誌に掲載された。
筑波大学によると、コンピューターモデルの中では、両親と子ども2人の4人家族100世帯、高齢者の大人2人の家族80世帯の合計560人の町が2つあると想定。4人家族は親の10%が隣町へ電車で通勤し、残りの親は日中自分の町で働くほか、子どもたちが全員学校へ通うとした。高齢者の家族は通勤せず、定期的に人ごみを訪れるとしている。
このモデルに27種類の感染予防策を想定し、対策なしから基本予防策の単独実施、複合実施などに分けて入院者数や死亡者数、感染速度をシミュレーションした。
その結果、有効な効果を得られたのは、テレワークや学校閉鎖、外出抑制などを組み合わせた複合的な予防策で、予防策の単独実施や部分的な組み合わせでは入院者数の減少が見込めず、効果的といえないことが分かった。特に複合予防策に店舗などへの外出頻度低減策を加えた場合に、大きな効果が見られた。
感染力のある患者の自宅待機は家庭内感染が発生し、家族から外へ感染が広がっていた。倉橋教授は自宅待機ではなく、ホテルなどへの隔離が有効とみている。