東京大学、米国ウィスコンシン大学、国立国際医療研究センター、国立感染症研究所は共同で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者から分離されたウイルスのネコにおける増殖能と感染伝播能を解析した。その結果、新型コロナウイルスは、ネコの呼吸器でよく増えること、接触感染によってネコの間で容易に感染伝播することが明らかになった。
米国では、ニューヨーク州の飼いネコ2匹から新型コロナウイルスが検出され、さらに、ニューヨーク市の動物園でトラやライオンなどのネコ科動物にも感染が報告されている。
今回の研究では、新型コロナウイルスをネコの鼻腔内に接種した。その後、感染ネコとの接触によってウイルスが同居ネコに伝播するのかどうかを調べた。その結果、3ペア中3ペアにおいてウイルスが伝播した。また、ウイルスはネコの呼吸器でよく増えること、さらにウイルスに感染したネコは明らかな症状を示さないことも分かった。
研究チームは、ネコを感染から守るためにも、ネコを外に放さず室内で飼育することが必要であることを強調している。なお、これまでのところ、新型コロナウイルスがネコから人に感染した事例は報告されていないが、厚生労働省はホームページで「動物由来感染症の予防のため、動物との過度な接触は控えるとともに、普段から動物に接触した後は、手洗いや手指用アルコールでの消毒等を行う」ことを推奨している。日本獣医師会も愛玩動物の新型コロナウイルス感染症に関する見解を出している。
論文情報:【New England Journal of Medicine】Transmission of SARS-CoV-2 in Domestic Cats